企業の業績や財務状況を把握し、今後の成長性や安定性を吟味するために必要なデータが詰まっている決算書。それを読み解く知識は投資家のみならず、ビジネスパーソンにも必須。
いまさら聞けない「決算書」について学びたい! そんな声に話題の書籍『「会社の数字」がみるみるわかる! 決算書のトリセツ』が優しく寄り添います。約30年間にわたり、銀行員やコンサルタント、M&Aアドバイザーとして多面的な実務経験を通じて決算書を読みつづけた前田忠志氏が、決算書のエッセンスを見極めるために確立した手法を解説。今回は特別に、本書の「はじめに」と、第1章「大きい取引ができるのは、社長か?課長か?―会社の大きさを読む 損益計算書(PL)1」の一部を公開します。(全4回)
●第3回「会社の規模から従業員数まで丸わかり!? 仕事と「売上高」の意外な関係とは」
※本稿は前田忠志著『「会社の数字」がみるみるわかる! 決算書のトリセツ』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。
売上と利益、どっちが大事?
次に、利益について見てみます。
PLは、上から「売上高、売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費……」という順で並んでいますが、このように一番上から一行ずつ読むのではありません。途中は飛ばして、一番下の「親会社株主に帰属する当期純利益」を見てみましょう。
自分の給与明細を見るときに、一番上から、基本給、残業手当、何とか手当……と、ひとつひとつ項目を見ることはありませんよね。一番下の手取り額、それが結論というか、最終的にどうなったかという数字ですので、一番下を見ることが多いでしょう。
PLも同じです。売上高からはじまって、いろいろ引いたり足したりします。それで、最終的にどうなったかというのが一番下の「親会社株主に帰属する当期純利益」ですので、そこを見ます。実務では、「純利益」とか「最終利益」ということもあります。
このように、決算書を見るコツは、重要なところから見るということです。これは、慣れるまでは細かいことは気にせずに重要なところだけ見ましょう、というのではありません。決算書を読むプロも、重要なところから見ていきます。重要なところだけを拾い読みできるようになるのがプロの読み方です。
なお、連結PLの一番下は「親会社株主に帰属する当期純利益」ですが、個別PLの一番下は単に「当期純利益」です。
ニトリの純利益は92,114です。単位は百万円です。921億1400万円ですね。売上高は7000億円。そこから、材料費とか、給料とか、家賃といったいろいろな費用がかかって、残ったのが900億円ということです。
会社が利益をあげることはとても大切です。会社には出資者である株主がいます。会社は、株主が出資した資金を使って利益をあげるものです。
株主は、会社の実質的な所有者であり、会社が利益をあげることを期待しているのです。売上と利益の関係では、売上が手段で利益が目的です。株主が期待しているのは利益であり、売上より利益が大切です。
売上や利益は、過去の数字とくらべることで、会社の成長性がわかります。