・「注目企業」が上場も株価“急変”を規制? 東証が新たなルールを実施
2021年6月28日、ブライダル大手の「ワタベウェディング」が上場廃止となりました。新型コロナウイルスの影響で業績が悪化し、2020年12月期では約117億円の最終赤字かつ8億円以上の債務超過に陥っていました。
ワタベウェディングは比較的に早くスポンサーが見つかったこともあり、90億円の債務削減を盛り込んだ事業ADRが成立します。1株180円での買い取りも発表し、投資家は元本の全てを失う事態を免れることができました。
【ワタベウェディングの株価】
コロナ前を取り戻しつつあるブライダル業界
ワタベウェディングに限らず、ブライダル関連企業の多くは新型コロナウイルスの影響を強く受けました。行動制限から結婚式の中止や延期が相次ぎ、ブライダル市場は大きく縮小したとみられます。日本ブライダル文化振興協会は、感染拡大から1年間でブライダル業界にはおよそ1兆円の損失が生じたと発表し、大きな話題を集めました。
現在は感染者数も落ち着いてきており、業界も少しずつ上向きつつあるようです。2022年は3年ぶりに全体で1兆円の売上高を回復しました。コロナ前(2019年:約1兆4000億円)には至りませんが、最も悪影響を受けた2020年比では約2.4倍にまで増加しており、底打ちの様子が見られます。
【ブライダル業界の売上高(推計)】
個別の企業についても見てみましょう。ブライダル業界で最大手とされているのがテイクアンドギヴ・ニーズで、挙式披露宴・披露パーティー市場のおよそ5%のシェアを持つとみられています(2021年)。
同社も2021年3月期に売上高の約7割を失うほどのダメージを受けますが、2023年3月期にはコロナ前の利益を上回りました。完全な回復とはいえませんが、最悪期からは脱したといえそうです。
【テイクアンドギヴ・ニーズの業績】
出所:テイクアンドギヴ・ニーズ 決算短信
【テイクアンドギヴ・ニーズの株価】