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日本には世界的な自動車メーカーがあり、それを支える自動車部品メーカーも世界級です。

【自動車部品メーカーの自動車関連売上高(2021年度)】
・デンソー:5兆3286億円
・アイシン:3兆7988億円
・住友電気工業:1兆7523億円
・矢崎総業:1兆6090億円
・日立製作所:1兆5977億円
・トヨタ紡織:1兆4215億円
・マレリ:1兆3800億円
※矢崎総業は6月期、その他は3月期

出所:FOURIN(フォーイン)

しかし2022年6月24日、売上高が数兆円を超え全国に約4万社の取引企業を持つマレリホールディングスが経営破綻しました。同社に何が起こったのでしょうか。

戦後最悪級の破綻劇…金融機関は4000億円を放棄

マレリホールディングスの中核企業マレリ(旧カルソニックカンセイ)は、もともと日産自動車のグループ企業でしたが、2017年にアメリカの投資会社コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に買収されました。その後2019年にフィアット・クライスラー・オートモービルズ(現・欧州ステランティス)からマニエッティ・マレリを約7200億円で買収し、商号をマレリと改めます。

KKRに買収された後もマレリは主に日産自動車向けに部品を供給し、2020年12月期には連結で約1兆2665億円もの売上高を計上していました。しかし日産自動車はカルロス・ゴーン氏の失脚や新型コロナウイルスなどから販売不振に陥り、業績が悪化します。半導体不足も追い打ちとなり、日産自動車は長らく減産を余儀なくされました。これを受け、マレリの業績も悪化します。

【日産自動車の売上高(連結)】

日産自動車 決算短信より著者作成

マレリホールディングスはマニエッティ・マレリを買収した際の借入金の負担が重く、業績不振で資金繰りが限界を迎えたことから、2022年3月に事業再生ADRを申請しました。これは裁判所を介さずに債務の削減などを求める手続きで、法的整理と比較すると柔軟に再建を目指すことができますが、原則として債権者全員の合意が条件となります。

マレリホールディングスは債権者と交渉を進めたものの、残念ながら一部の金融機関から合意を得ることができませんでした。このためマレリホールディングスは東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、法的な枠組みで事業再生を図ることになります。製造業としてはタカタに次いで戦後2番目に大きい倒産となりました。

【戦後の主な製造業の倒産と負債額】
・タカタ:1兆5024億円(2017年6月)
・マレリホールディングス:1兆1330億円(2022年6月)
・パナソニックプラズマディスプレイ:5000億円(2016年11月)
・エルピーダメモリ:4480億円(2012年2月)

出所:東京商工リサーチ

マレリホールディングスは、KKRからおよそ900億円の新たな出資と金融機関から4000億円を超える債権放棄を盛り込んだ再生計画を提出し、債権者の90%以上の合意を受けました。これを受けマレリホールディングスの再生手続きは2022年8月に終結しています。