業界ではいち早く、1998年から預かり資産営業に大転換

「これからは預かり資産営業の時代だ」と言われるようになって、すでに久しい。その言葉を聞いたのは、かれこれ20年以上も前になるだろうか。時は日本版金融ビッグバンが行われた1998年にさかのぼる。

当時、上場株式の売買委託手数料は、どの証券会社も一律だったが、同年に行われた金融証券市場の一大規制緩和、いわゆる日本版金融ビッグバンによって、完全な自由化が進められた。折しも、インターネットの普及により、支店を持たずにインターネット上で株式や投資信託の売買を行うインターネット証券会社が登場した時期と前後する。結果、インターネット証券会社を中心にして株式売買委託手数料の価格競争が激化し、特に支店網をもつ対面型証券会社は苦境に立たされてしまった。

この時、会社の収益構造をフロー中心からストック中心に大きく変えたのが、いちよし証券だ。

「フロー収益を中心にしていた時は本社が販売する商品を決め、各地区本部に販売額を割り当て、さらに地区本部が各支店に販売額を割り当てるという流れでしたが、それを全く逆にしました。まず支店が地域のお客様が何を求めているのかをリサーチし、その販売サポートを各地区本部ならびに本社が担うという流れです」(白石氏)。

いちよし証券 金融商品部長  白石幸雄氏

この98年に行われた一大改革は「改革の断行」と社内で称され、不退転の想いで遂行されていった。

ちなみにこの「改革の断行」は、人生100年時代や超低金利、NISAのスタートなどを受けて、より改革スピードを速める必要があるとの考えから、2019年より「第二回改革の断行」へと移行している。若返りに加え、地区本部を廃止するなど思い切った組織改編の真っ最中だ。