PayPay銀行は、2000年10月、国内初のインターネット専業銀行として開業(当時ジャパンネット銀行)。以降、フロントランナーとして、銀行サービスのデジタル化に取り組み、2024年4月には、日本経済新聞社「NIKKEI Financial 銀行ランキング」で、堂々総合第1位に選出されるなど存在感を放っている。同社の強みとは何か? キーパーソンに聞いた。
銀行ランキング1位という評価の受け止めと24年間の歩みの振り返り
――今回のランキングは、いわゆるネット銀行だけではなく、メガバンクや地銀を含めているという点で非常に価値があると思います。
案野哲也氏(以下、案野) 1位というのは、正直、驚きました。今では、ネット専業銀行も増えていますし、メガバンクもデジタル化に注力しています。インターネットバンキングが普及、定着していく中で、特に奇をてらったことをしているわけでもありません。これまでやってきたのは、「UI(ユーザーインターフェイス)」を徹底的に磨き、「UX(ユーザーエクスペリエンス)」の向上に努めた、ということに集約されます。それが評価された結果だと受け止めています。
――24年間の歩みの中で、大きな出来事といえば何でしょうか。
木幡 寛氏(以下、木幡) まず、2021年4月に「ジャパンネット銀行」から「PayPay銀行」に社名を変更したことが挙げられます。開業してから20年以上経過しており、すでにジャパンネット銀行という名前も浸透していましたから、商号変更は社内でもかなり議論しました。しかし、より多くのお客さまにとって親しみやすくなるのは、間違いなくPayPay銀行であるというのは分かっていました。実際、社名変更後のわずか3年間で約300万口座増加し、2024年5月時点での口座数は800万口座を突破しています。
――具体的なサービス面ではどうですか。
木幡 2022年8月にリリースした、PayPayのミニアプリである「PayPay銀行」のサービスです。このミニアプリによって、PayPayアプリからPayPay銀行にアクセスが可能になり、簡単に明細確認や振り込みができるようになりました。また、PayPayで本人確認済みのお客さまであれば、PayPayの本人確認情報と連携することにより、最短1分で口座開設申込が可能になるサービスもリリースしています。当社内では、サービスの改善について、よく「摩擦をなくす」という言葉を使っています。これは、お客さまが当社のサービスを利用する際の負担やストレスを“摩擦”と表現しているのですが、ミニアプリや、PayPayとの本人確認情報連携サービスの導入によって摩擦がかなり減ったのではないでしょうか。