2024年は中央銀行による金融正常化が進展
――2024年のマーケットについての総括からお願いします。
2024年は、新興国に続いて先進国の中央銀行が金融緩和を開始しました。その一方で日本は金融引き締めに転じましたが、それまでの超低金利状況の是正という面を考慮すると、グローバルでは中央銀行の金融政策正常化の年だった、といえるでしょう。
この背景としては、世界的な経済成長の鈍化と、それに伴うインフレの鎮静化が挙げられますが、金融政策正常化の動きは、当初の想定からはかなり遅れました。その理由は、経済成長は鈍化したものの想定より堅調に推移したこと、そのためいまだインフレへの警戒を緩められない状況が続いていることが挙げられます。
――世界経済が予想外に堅調だったのはなぜでしょうか。
主要国の財政政策が要因だと考えています。例えば米国の場合、財政の景気刺激効果が長期間持続しており、今後も続く見通しです。大統領選の影響で、消費者に対する財政支援が強く、それが特にサービス業の好調さに反映されています。実質所得が上がった消費者がサービス業への支出を増やし、振るわない製造業をカバーして景気を支えている状況です。
――債券市場についてはどうでしょうか。
底堅い米経済を反映し、足元ではクレジットなどは株式と同様、割高なバリュエーションとなっています。マクロ環境が良いため投資適格社債のみならずハイイールド社債もバリュエーションが上昇し、スプレッドがタイト化しています。その影響で相対的に米国債のイールドも高めに留まっています。投資家にとってはトータルリターンからみても魅力的な金利水準といえるでしょう。