米国経済の強さが際立った2024年 市場は各国の金融政策に振り回された1年に

――2024年を振り返って、世界経済および金融市場の主な動き、流れは?

2024年を振り返ると、実体経済面ではなんといっても米国の予想以上の強さが印象に残った一年だった。それを受けて、1~3月にも米連邦準備理事会(FRB)が利下げに転じると見ていた市場予想が大幅に後ずれし、年前半はドル円相場がほぼ一本調子で下落。6月には1ドル160円を超える円安となった。

米景気がFRBの大幅利上げにもかかわらず崩れないという異例の事態となった背景には、新型コロナ禍で実施された現金給付を背景とする過剰貯蓄、株価上昇に伴う個人金融資産残高の上振れ、労働参加率低迷による雇用環境のひっ迫がある。

金融政策面では、FRBや欧州中央銀行(ECB)など海外中銀が利下げに転じる一方で、日本銀行は3月にマイナス金利解除、7月に追加利上げと、各国の金融政策がそれぞれ大きな節目を迎えた1年となった。

年後半は、欧米中銀の追加利下げ、日銀の追加利上げを巡り、金融為替市場が右往左往する展開となった。

減速傾向が否めない2025年の世界経済 円安圧力は残存の見込み

――2025年の世界経済の見通しは?

24年の実質GDP成長率が2.8%だった米国経済は、トランプ新政権による関税引き上げや不法移民強制送還などの影響から減速し、25年は前年比2.2%になると予想している。

またユーロ圏は、インフレは落ち着いていくものの低成長が続き、25年の成長率は1%程度と予想する。不動産市場が低迷し、消費マインドに改善の兆しが見えない中国も、25年の実質GDP成長率は4.3%と、24年の4.8%から減速するだろう。

金融政策については、FRBは景気に中立的な金利水準まで利下げを行おうとするが、拙速に利下げを進めるとインフレ再燃リスクが高まるため、25年の利下げペースは相当ゆっくりしたものとなろう。したがって、長期金利の低下も緩慢となり、円安圧力が残存することになると予想する。