カギ握る物価と賃金上昇の好循環、プライム上場企業は5年連続最高益更新へ
――2025年の日本経済の見通しは?
2025年の世界経済の成長率は、ひとまず従前どおり3%強と仮定するのが適当か。世界的にインフレが鎮静化し、中央銀行は金融緩和を進め、グローバル景気は緩やかに回復基調をたどるだろう。そうした環境下、「グローバル景気敏感」とされる日本の上場企業の業績は底堅く推移する。
国内の景気も堅調である。資材高などがピークアウトしている一方で、企業の設備投資の潜在的な需要は高い。人手不足がボトルネックだが、先送りされた設備投資も徐々に進展し、実行に移されていくだろう。25年の賃上げも高い水準になることが予想される。「年収の壁」も税制改正で調整されれば、消費には多少なりともプラスの効果があるだろう。
プライム上場企業の業績は24年度中間決算時点で4年連続最高益だが、本決算もこのまま着地して、来期(26年3月期)も5年連続の最高益更新を目指す。しかし、さすがに業績の伸びの勢いは鈍化するだろう。上場企業全体では10%前後の純利益の伸びとなるのではないか。
すでに製造業には業績不振が鮮明になっている業種も散見され、企業ごとに回復の度合いが異なるだろう。サービス業は堅調さを維持すると思われるが、ポイントは価格転嫁が奏功するかだ。そのカギを握るのは物価と賃金上昇の好循環だが、その観点からも来春の賃上げ動向を注視したい。