<前編のあらすじ>
小山内良一さん(仮名)は建築関係の中小企業で働く63歳の会社員です。10歳年下でパートの妻と2人暮らし、お子さんはいません。3年前に定年を迎え、以降は再雇用で働いています。65歳の誕生日に再雇用の期限を迎えますが、老後の生活に不安を抱えていました。
中でも大きな不安要素は、貯蓄は300万円台で、将来受け取る年金は月に12万円程度ということ。加えて賃貸暮らしのため、家賃の負担も気になりました。
そこで「このままではまずい」とファイナンシャルプランナー(FP)の川出さんに相談することにしました。
●前編:【老後資金370万円、将来の年金12万円、賃貸暮らしの“三重苦”…63歳会社員を絶望させる「厳しい現実」】
再雇用終了を前に直面したお金の課題
私は定年後、再雇用で働く会社員です。会社の再雇用制度は65歳までで、2年後には年金生活に突入することになります。
心配なのは、老後の貯えが370万円しかなく、かつ、厚生年金の加入期間が短いため、65歳から受け取れる年金も月額12万円にしかならないことでした。
わが家は賃貸暮らしです。低収入でとてもマイホームを買う余裕がなかったのです。
2LDKで9万円というアパートの家賃は、このご時世、都内では破格に安いと思います。しかし、年金暮らしとなれば話は別です。妻のパート代を合わせても月収は18万円程度。その半分を家賃に持っていかれたら、とても暮らしていけません。
ならばもっと家賃の安いところに引っ越せばいいじゃないかと思うかもしれませんが、60歳を過ぎると貸し渋りが増えると聞いたことがあります。
再雇用が終わるまで2年を切り、にっちもさっちも行かなくなった私たち夫婦がすがった相手が、ファイナンシャルプランナー(FP)の川出さんでした。