働き方に助言をもらい、将来への不安が一気に解消される
「小山内さんの現在の世帯収入は約25万円。65歳以降に基礎年金を繰り下げても小山内さんがアルバイトなどで13万円弱稼ぐことができれば、今と変わらない収入がキープできます。東京都の最低時給は現時点で1113円ですから、税金等を考慮しなければ月に114時間弱、週4日7時間程度の勤務が目安になります。13万円を超えて働いた分は貯蓄に回していけば、それが老後の備えにもなります」
川出さんの提案は十分納得のいくものでした。私自身、週休3日なら70歳くらいまで働いていけるように思いました。
「小山内さんは優秀な職人さんとお見受けします。手先の器用さを活かしてものづくりの現場で働くのもいいかもしれませんね。一方で、こうしてお話ししているととても人当たりのいい方なので、接客業も向いているように思います」
川出さんからそんなふうに言われると悪い気はしません。“第二の人生の仕事”を探せば何とかなると思うと、だいぶ心が軽くなりました。
川出さんは、妻にもこんな助言をしてくれました。
「今はご主人の扶養となる年収の範囲内で働いていらっしゃいますが、いずれ、社会保険はアルバイトやパートの方も全員加入になっていきます。奥さまはまだお若いですし、ご負担にならない程度に働く時間を増やして、社会保険に加入された方がいいと思います」
「厚生年金に加入して働けば、将来奥さまが受け取る年金額が増えていきます。それが小山内家の家計の安泰にもつながります。先ほどお話しした5年分の国民年金保険料合計100万円の支払いもなくなりますから、お得ですよ」
川出さんからそう言われ、妻もその気になったようです。川出さんはそんな妻に、女性の働き方と社会保険の関係を解説したサイトを幾つか紹介してくれました。
小山内さんのおかげで、平均貯蓄に関する誤解も解けました。「60歳代の平均貯蓄が2000万円なんて聞くと、うちは一体何してたんだろうと思いますよ」とこぼすと、「お気落としなく。実は貯蓄額は二極化していて、一部の富裕層が平均額を引き上げているだけなんです」とからくりを教えてくれたのです。
「一方で、60代の5世帯に1世帯は貯蓄がゼロです。小山内さんはきちんと家計管理をされ、しっかり貯蓄をしてこられたのですから自信を持ってください」
川出さんの言葉を聞いているうちに、何とかなるかもと思えてきました。経験に裏打ちされた高度な課題解決力と、人を乗せるのが上手なキャラクターのなせる業でしょう。私たちは本当に、いいタイミングでいい専門家に出会えたものだと思います。このご縁は、これからの人生においてもずっと大切にしていくつもりです。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。