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先日上場したispace(アイスペース)が話題です。国内初の本格的な宇宙開発ベンチャーの上場ということで投資家の関心が集まり、公開価格(254円)の約3.9倍となる1000円の初値を付けて上場デビューを果たしました。月面着陸失敗のニュースから株価は急落したものの、将来の成長性に期待を寄せる声は少なくありません。

宇宙関連ビジネスの市場規模は拡大が見込まれていますが、日本は欧米と比べると出遅れているといわれています。過去には開発を断念し、経営破綻に追い込まれた企業もあります。「ギャラクシーエクスプレス」はその代表的な例で、2010年6月18日に特別清算が開始されました。

「事業仕分け」で国産ロケットが頓挫

ギャラクシーエクスプレスはIHIの子会社で、官民共同の国産ロケット「GXロケット」の開発を手掛けていた企業です。初の国産ロケットである「H-IIロケット」が燃料に液化水素を利用していたところ、GXロケットはLNG(液化天然ガス)を採用したところに大きな特徴がありました。

LNG燃料は、液体水素と比べると宇宙空間での貯蔵性に優れ、また漏洩や爆発といった危険性が低いという特徴があります。イーロン・マスク氏のスペースXが手掛ける大型ロケット「スペースシップ」にも、LNGエンジンが採用されました。

最新のエンジンを搭載しその試験もおおむね順調だったGXロケットですが、政府は2009年に開発の取り止めを発表します。開発しても国内の需要が見込めないこと、また価格面からアメリカ政府などからも受注する見通しが立たないことから、事業仕分けの対象となってしまいました。日本の宇宙産業の市場規模が諸外国のように大きければ、GXロケットの開発は続いていたかもしれません。

【国別、航空宇宙工業生産の売上高(2009年)】

日本航空宇宙工業会「航空宇宙産業データベース(2022年8月)」より著者作成

国が手を引いたことでギャラクシーエクスプレスの事業見通しも立たなくなり、親会社のIHIは同社を2010年3月に解散させました。それに伴い、IHIは100億円以上の特別損失を計上することになります。