コロナによる収入の不安定化が自営業・フリーランスの加入を後押し
さて、毎月4万人ぐらいの方が新たにiDeCoに加入しているのですが、コロナ以降、特に2021年に加入したのは、自営業やフリーランスの方々でした。もともと、公的年金が国民年金だけなので老後資金を自ら用意する必要性の高い方々なのですが、この数年、新規に加入する方は減っていました。私が長年通っている美容室で、6年以上担当してくれている方も行くたびに「iDeCo、始めた方がいいですよね?」と話すのですが、つい後回しになってしまうようで、そのままの状態が続いていました。
それが、2020年の夏、コロナで一時お店をお休みするなど日常のペースとは違う環境になったことで、ご夫婦でこれからのお金のことを話し合い、申し込み手続きを済まされました。ご夫婦や美容師仲間とも、お金のことについて話したり、情報交換する機会が増えことで「老後資産準備を早くから始める必要性」や「iDeCoの非課税メリット」を改めて納得できたことも後押しになったと仰っていました。
2022年は法改正が新規加入を後押し 企業型との併用も
今年は5月と10月に法改正によって加入者範囲が広がり、それにあわせて、前年を大幅に上回る加入の動きが見られました。5月から、60歳以上でも国民年金被保険者であれば加入できるようになりましたから、50代で新規加入する方が増えた模様で、会社員の新規加入は前年よりも1割ほど多いハイペースがずっと続いています。
60代前半も働くのが当たり前になり、会社員として働いている方はほぼ65歳までiDeCoで積み立て運用できます。おまけに、50代の資産形成の目的はほぼ老後資産形成ですからiDeCoの利用は50代にはピッタリです。新規加入が特に、企業年金のない会社員の方で増えていることからすると、従業員数300人以下の企業にお勤めの方だけが利用できる「iDeCo+」という会社が補助を出してくれる仕組みを利用して、iDeCoを始めた方も多いのかもしれません。
一方、10月からは企業型確定拠出年金に加入している方がiDeCoに加入できるようになりました。企業年金のある会社員の2022年10月の新規加入者数は前年比の3倍の15,117名と大幅に増加していました。制度スタートに間に合うよう段取りよく、不備もなく申し込めた方だけが、10月加入となっていると思われるので、11月以降も企業型確定拠出年金加入者の方がiDeCoに新たに加入される動きは当面続くものと思われます。
ますます、新たな加入者が増えて大きくなっていくiDeCoを来年も引き続き見守り、いろいろな情報をお届けしたいと思います。この1年ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。