岡本淳さん(仮名)は都下の旧家に生まれ、先祖代々受け継いだ家に妻の百合子さんと暮らしています。岡本さんは大手不動産会社の部長で休日も物件巡りや接待ゴルフに出かけることが多く、インテリアコーディネーターの百合子さんとなかなか一緒に過ごす時間が取れません。だからこそ、2年後の役職定年以降は2妻人で共通の趣味を楽しみたいと思いを巡らせていました。百合子さんが抱えていた秘密が明らかになったのは、そんな矢先でした。

百合子さんは岡本さんに内緒で、実の弟に金銭援助を続けていたのです。それも、年間で220万円という大金です。岡本さんは自分に黙って義弟にお金を渡してきた百合子さん以上に、厚かましい義弟に腹を立てました。そして、子供のいない自分たち夫婦の自宅不動産が将来義弟の手に渡ることがないよう、アクションを起こしたのです。岡本さんが起こしたアクションとは? そして、それに一役買った専門家とは? 事の経緯を岡本さん自身の口から語ってもらいました。

〈岡本淳さんプロフィール〉
東京都在住
53歳
男性
管理職
正社員の妻と2人暮らし
金融資産2000万円

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今の会社に転職して間もなく20年、現在は部長職ですが、55歳になると役職定年となります。前の会社の同僚だった3歳年下の妻はインテリアコーディネーターで、やはり1度会社を変わりましたが、転職先でそのまま働き続けています。私たちには子供がおらず、これまではお互い「仕事が生きがい」の生活を送ってきたこともあり、仕事が一段落したら2人でゆっくり好きな温泉旅行でも楽しもうという話をしていました。

そんな妻に違和感を覚えたのは今年の冬、自宅の給湯器が壊れて工事が必要になった時です。当時は給湯器不足で価格が高騰しており、見積もりを取ると工事費を含め60万円ほどになりました。しかし、わが家は風呂やシャワーも給湯器で、背に腹は代えられないと急いで工事を依頼しました。こうした出費は夫婦で折半するのがわが家のルールでしたが、数日後に業者から請求書が届いた時、妻は私にこう言ったのです。

「悪いけれど、今回は立て替えておいてくれない? 次のボーナスが出たら返すから」