年収250万円、毎月コツコツ返済していたけど…

しかし、私には在学中に借りた奨学金350万円の返済という身に迫った問題があり、そのためには仕事を選んでいる余裕などなかったのです。入社時の年収は250万円程度でしたが、それでも、1年目は毎月1万5000円の返済をしながら、少しは貯蓄もできました。しかし、2年目はコロナ禍でテレワークが増えた結果、残業などの手当がなくなった上に住民税の負担が発生したり、賃貸の自宅の滞在時間が長くなったことで食費や光熱費が跳ね上がったりして、あっという間に赤字家計に転落。ボーナスを投入して何とか収支がトントンという状態になってしまいました。

3年目になると、さらに状況は悪化します。給料は上がらないどころか手取りでは実質減、加えて頼みのボーナスも大きくダウンしたため、預貯金を取り崩さざるを得なくなりました。会社の同僚には裕福な家庭のお嬢様が多く、コロナ禍でも仲間との飲み会を楽しむパリピや、オンライン会議に映えるインテリアやファッション、ばっちりメイクで臨んでくるおしゃれ女子ばかり。社会人になってからスーツすら満足に買えていない私は、会議のたびにみじめな気持ちになりました。

親に助けを求めようにも、自営業でコロナ不況に直撃され持続化給付金でようやく暮らしているありさまで、とても言い出せる状態ではありません。米国に留学している大学時代の同級生から、米国のグレート・レジグネーション(大離職時代:コロナ禍で人手不足が顕著となって労働市場が売り手市場となり、自主的に退職する人が急増した)の話を聞き、自分の研究を生かせる転職先を探してみましたが、いわゆる第二新卒の求人もぱっとしません。長い迷路に入り込んでしまったような気持ちで、外出する機会も次第に減り、自宅で鬱々とした日々を過ごしていました。