木下萌さん(仮名)は大学時代に物理の研究をしていた“リケジョ”。25歳という年齢を感じさせない落ち着いた物腰やファッションは、いかにも仕事ができる女子という印象を与えます。現在は化学・医薬品系の商社で事務職をしていますが、近々、新設される企業系研究所の助手に就任する予定。堅実な仕事ぶりで職場の上司や同僚からの信頼も厚い木下さんですが、新卒の時に希望した職種で内定を得られなかったことがずっと心残りだったとかで、転職について「ようやく夢がかないました」とうれしそうに話してくれました。

しかし、就職してからの3年間は、コロナ禍ということもあり、いろいろ紆余曲折があったようです。中でも重くのしかかっていたのが、学生時代に貸与された350万円の奨学金の返済。「自営業をしていてコロナ不況に直撃された郷里の両親に頼ることもできず、貯金も尽きて、キャッシングに手を出す寸前まで追い詰められました」と振り返ります。そんな木下さんの苦境を救ってくれたのが、木下さんが「神」と仰ぐある専門家でした。返済に追われていた「地べたを這い回る貧困女子」から脱出した経緯を、木下さん自身が話してくれました。

〈木下萌さんプロフィール〉
東京都在住
25歳
女性
会社員(事務職)
結婚歴なしのシングルで1人暮らし
金融資産75万円

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そもそものつまずきは、就活の失敗でした。物理学の研究をしていた私は大学院への進学を目指していたのですが、経済的な問題と将来への不安から断念し、大学4年生の夏休みから職探しを始めました。担当教授や大学の就職相談室の人がいろいろ手を尽くしてくれたにもかかわらず、私の力不足で希望する業種からは色よい返事がもらえず、最終的に内定が出たのは今の会社だけ、それも事務職でした。

かつては「理系は就職に有利」と言われていたようですが、私の世代では文系も理系も就職率はほとんど変わりません。研究生活を通しデータ入力や資料の管理などを行ってきたので、そうした仕事はどちらかといえば得意ですし、人当たりもいい方かと思いますが、入社後、上司や同僚からは「リケジョなのにどうして事務職なの?」といった色眼鏡で見られることが多く、閉口しました。