58歳で預金200万円弱、ローン残高1700万円超

妻がぽつりぽつりと語ったところによれば、「茶道のお稽古に通う仲良しグループには裕福な家庭の奥様が多く、お茶会やグループ旅行などお付き合いの出費がかさむようになった。これまでも綱渡りでやってきたけれど、会社の役職定年で手取り収入が3割以上カットされ、足りない分をカードローンやフリーローンで補っていたら、あっという間に借金額が膨らんだ」というものでした。

誰かの借金の連帯保証人になっていたとか、ホストに入れあげてお金をつぎ込んだという良からぬ妄想が頭をよぎっていたので、理由を聞いて少しばかり安堵した半面、500万円もの借金をこれからどうやって返していったらいいのか、言いようのない不安が胸の中に広がりました。その時点で、私も妻も満58歳。定年まで2年ほどしかなかったのです。

翌日は休日だったこともあり、恐らくは生涯で初めて、自分たちの家計のバランスシートを確認しました。恥ずかしい話ですが、当時の金融資産は私が普通預金200万円弱、妻はほぼゼロでした。他には私が死亡保障2000万円、妻が同1000万円の終身保険に加入している程度。むしろマイナスの資産の方が多いくらいで、自宅マンションのローンが1500万円以上、私の車のローンが200万円以上残っていました。

「公的年金だけでは老後資金が2000万円不足」問題がメディアをにぎわせた時は、正直、自分たちには全く関係ない話だと思いました。しかし、その時ばかりは老後破産の恐怖が現実味を帯びて目の前に迫り、私たちは、ただただ頭を抱えるしかなかったのです。

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※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。