〈前編のあらすじ〉
61歳の久我貴彦さん(仮名)は同い年の妻、陽子さんと2人暮らし。ともに技術者で定年後も継続雇用制度を利用し仕事を続けています。夫婦の年収は一時期2000万円ほどもあり、互いに好きなことにお金を使うなど自由な生活を満喫。貴彦さんは老後資金についても何も心配していませんでした。
しかし定年を目前に控えた3年前のある日、陽子さんから「借金が500万円を超えたかもしれない」とまさかの告白が……。
「老後2000万円問題」とは無関係と思っていたのが一転、老後破産の危機にひんしてしまい――。
●借金額が膨らんだ意外な理由… 前編の詳しい内容はこちら>>
親友に紹介された独立系FPの“直球指摘”
突然直面した老後破産の危機。私も妻も技術屋だけに財産管理に関する知見がなく、第三者の意見を求めようにも、そもそも誰に相談していいのか見当もつきません。加えて、内容が内容だけに、仕事関係者には絶対に知られたくないという思いがありました。そんな私に救いの手を差し伸べてくれたのが、大学時代からの親友の加藤君でした。
長年家族ぐるみの付き合いを続けてきた加藤君に、妻も交えて我が家の窮状を打ち明けたところ、独立系ファイナンシャルプランナー(FP)として活躍する加藤君のかつての部下を紹介してくれたのです。「俺は門外漢だから役に立てないけれど、彼なら頼りになると思う。面倒見のいいやつだから、腹を割って話をしてみるといいよ」。親身になって動いてくれた加藤君に感謝し、藁にもすがるような気持ちで、そのFP、高橋さんの面談を受けることにしました。
高橋さんは私たちが持参したローンや資産関係の書類に目を通し、私たちの話をひと通り聞いた後、おもむろにこう尋ねてきました。
「久我さんは共働きで平均以上の収入があるのに、失礼ながら、家計は自転車操業状態です。生活費やローンの返済の他に、どんなふうにお金を使っているのか検証してみませんか?」
妻とその場で前月の家計支出をあぶり出してみたところ、使途不明金が20万円近くありました。
「このままリタイア生活に入っていたら、数年後にはかなりの確率で老後破産していたと思いますよ」
高橋さんの言葉が胸に突き刺さりました。妻の借金というより“放漫経営”家計のリストラこそが我が家の最優先課題だと指摘され、夫婦別々ではなく世帯全体の収入・支出をアプリで管理する方法を教えてもらいました。さらに、通信費(スマホ)や電気・ガス料金の我が家に合ったプランへの変更、頻繁に利用していた外食やデリバリーの頻度を半分に抑えるといった具体策が示され、節約とは無縁の生活を送ってきた私たちはまさに目からウロコでした。