退職金は「一時金」受け取りで。その理由とは?

妻の債務については金利を確認した上で融資先を1カ所にまとめ、毎月の家計費から使途不明金に相当する20万円を目標に返済していき、残った分は定年時に退職金で一括返済というプランが示されました。

私たちがほっと胸をなで下ろしたのが、高橋さんのプラン通りに家計を圧縮できれば、65歳以降の年金生活(夫婦2人の年金額は手取りで約35万円)はほぼ問題ないだろうと言われたことです。ただ、60歳から65歳までの5年間は生活費の手当が必要となるため、高橋さんからこんな助言がありました。

「現時点で健康不安がないのなら、65歳まで継続雇用で働いてはいかがでしょう? 収入は減りますが、その後の年金生活に備え『入ってくるお金で暮らす』ことのトレーニングにもなります」

もう1つのポイントが退職金です。高橋さんからは、私も妻も一時金での受け取りを勧められました。その理由として説明されたのが、①老後にローンを残さないよう返済に充てる、②余裕資金がほとんどないため緊急時に備え生活費の1年程度の資金を確保する、さらに、③私も妻も公的年金だけでそれなりの金額を受給するので、年金形式で受け取ると税金や社会保険料の負担が増えてしまう可能性がある、ということでした。

一時金で受け取る場合は税法上の「退職所得」扱いとなり、「退職所得控除」が使えます。退職所得控除は勤続20年までが年40万円、21年以降は年70万円ずつ増える形になりますから、勤続38年となる私や妻はそれぞれ2060万円までが非課税で受け取れるとのことでした。私は会社の確定給付型年金(DB)とiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入しており、この2060万円の枠を有効活用するためにはiDeCoの一時金を優先して受け取った方がいいといった専門的なアドバイスもいただきました。