「急がば回れ」で信頼関係を築いたら、正面から「お金の話」ができる

このようなことを繰り返して、コミュニケーションが深まっていけば、正面から介護のお金について切り出すことは可能になります。

きちんと正面から「周りの友達を見ると、そろそろ親の介護が始まっている人もいて、いろいろと考えてしまうんだけど。聞いてくれるかな。子どもとしてふがいないとは思うけれども、今の俺では、父さんや母さんの介護の費用を負担するだけの余裕はないんだ。息子たちの進学費用を貯めるのでいっぱいいっぱいで。だから、医療費や介護の費用は、できれば父さん母さんのお金を使わせてもらえたらと思うんだけど、どうかな。もちろん、父さん母さんに何かあったら、介護は責任持ってやるつもりなんだよ」と切り出したら、親はきちんと応えてくれるはずです。

親が「ここにお金があるから、何かあったときには、ここから引き出すように」と言ってきたら、「ありがとう。通帳や印鑑があっても、俺たちではお金を引き出せないんだ。それにいま、お金があるかどうかを、知りたいわけじゃない(心の中では知りたいと思っていても口には出さない)。いざとなったら、お金が使えるようにキャッシュカードの暗証番号をメモに残しておいてほしいんだけど。どうかな」と言って、メッセージカードを送るようなきれいな封筒とカードを用意して、そこにすぐに書いてもらうようにします。封をして、「ここにしまっておいてほしいんだ。何かあったときには開封するよ。それでいいよね」と話せば、暗証番号は無事に聞き出せます(ご相談者の9割の方がこの方法で成功しています)。場合によっては、おおよそ資産がどれくらいあるのかも教えてくれることもあります。

親とお金の話を真摯にするまでには、遠回りなようですが、ここまでやっておけば、お金の話以外にも、介護の希望や終末期の延命治療の話もできるようになります。

親と話をするのに、気を遣うのは「面倒だな」と思うかもしれません。ただ親からしてみると高齢になって、そろそろ老い支度をしなくてはならないと終末期に向けてナーバスになっている時期でもありますので、そこは気持ちを汲み取って、コミュニケーションを取っていきましょう。それが親のためでもあり、子どものためでもあります。

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