支えてくれたのは徹底した「お客様目線」のアドバイザー

週明けの月曜日、彼女に直接電話をし、「仕組み債はやめておく。運用先を見直したいから、株式投資もしばらく休止する」と伝えました。彼女はか細い声で「そうですか」と応じたきりでしたが、察するところがあったのでしょう。以降はぴたりと連絡がやみました。

心のどこかに彼女を失うことへの不安がありましたが、あの時は“裏切り”を許せない気持ちの方が強かったように思います。近くに住む息子や、正式に私の資産運用のアドバイザーとなった新谷君が、そんな私を支えてくれました。

これからの人生を、どこで、どんなふうに過ごしたいのか。どれくらいの資産があって、アセットアロケーション(配分)はどうなっているのか。今後どのような運用を望むのか。将来的には、息子にどのようにして資産を引き継いでいきたいのか。丁寧なヒアリングの結果、ある程度の資産運用の必要性と、許容できるリスクが分かりやすく示されました。これに基づいて運用資産を整理し、安全性を配慮した国債などの債券と、バランス型の投資信託の2本立てで運用していくことになりました。

月20万円を超える公的年金収入があることから、投資信託は税金面で不利な毎月分配型ではないもの(年1回決算型)を勧められました。同時に、運用で利息を得ながら定率の生活資金を引き出していく取り崩しプランも提案してもらいました。

資産運用の「作戦会議」も大きく様変わりしました。半年に1度定期面談が行われ、運用結果の報告を受けながら老後設計の見直しなどを相談しているのですが、そこには息子も同席します。「僕がいろいろ分かっていた方が、父さんに何かあったときに安心だろう?」と言いますが、実のところは、面談後に我が家で旧友と一緒に私の手料理を囲むのを楽しみにしているようです。

学生時代は堅物の印象だった新谷君はすっかり人当たりのいいアドバイザーに転じていますが、「証券会社が売りたい商品でなく、お客様に本当に必要な商品を勧めたい」という高邁な志を持って独立しただけあって、実直さは昔のまま。データを駆使した説明も分かりやすく、説得力があります。

実は資産を整理した直後、コロナショックで世界同時株安となり、仕組み債で大損した投資家が続出したという話を新谷君から聞きました。まさに危機一髪で、新谷君はいうなれば私の救世主です。彼のようなアドバイザーと出会えて本当に良かったと思います。

●前編→「亡き妻の面影を…」信じた40代昭和風美人がまさかの裏切り! 退職金消失の危機