民間からも空き家対策のさまざまなアイデアが

民間も対策に知恵を絞っている。空き家状態が長引くと売却も賃貸も難しくなる。空き家の維持費も馬鹿にならない。固定資産税や都市計画税、水道光熱費、庭木の剪定や除草費、火災保険料などで、東京近郊で年間に約20万円以上という事例もある。

空き家になる前に次の居住者探しをサポートする企業も増加している。子供たちが巣立ち転居を考えている60歳前後の夫妻に対し、家屋の借り手を探すとともに賃貸の新居を紹介する。賃貸収入を得ながら、より利便性の高い部屋を借りての退職生活を促す。

居住面での需要がない地域でも駐車場のニーズがあるところがある。低コストで解体すれば十分な収益を生める可能性があり、こうした取り組みに特化する民間業者もいる。

また、思い出深い家屋の解体を家族が参加して行う、「棟上げ式」ならぬ「棟下ろし式」を実施することで、家族の気持ちの整理を促進し、空き家をなくす取り組みを展開する企業もある。

 

執筆/大川洋三
慶應義塾大学卒業後、明治生命(現・明治安田生命)に入社。 企業保険制度設計部長等を歴任ののち、2004年から13年間にわたり東北福祉大学の特任教授(証券論等)。確定拠出年金教育協会・研究員。経済ジャーナリスト。
著書・訳書に『アメリカを視点にした世界の年金・投資の動向』など。ブログで「アメリカ年金(401k・投資)ウォーク」を連載中。