今日、8月2日は「空き家をゼロにの日」。静岡市の空き家買い取り会社が、空き家をゼロにしたいとの思いから、8月2日を0802とつづり「空き家(08)ゼロに(02)」と読む語呂合わせを考案したことが発端だ。

空き家増加の課題が増幅する一方で、居住家屋の質は少しずつ向上

2018年現在で、日本の空き家は約849万戸と、住宅全体の7戸に一戸が空き家となっている。日本の世帯総数が2023年に最大となった後は減少し始めることもあり、野村総合研究所によれば、2038年の空き家戸数は、1356万~2254万戸となり、最悪の場合は現状の約2.7倍にもなると予想する。

都道府県別に空き家状況を見ると、人口減少が続く四国や九州などでの空き家率が高く、同時に別荘も統計上の計算対象となるため、山梨や長野も空き家率は高い。

大都市でも、駅やバス停が遠い、郵便局などの公共施設あるいは買い物の場所が離れているなど、利便性で課題のある場所では、空き家が増えているようだ。しかも、空き家の2割は20年以上にわたり居住者がいない。

空き家率を諸外国と比較すると、まず日本の2018年の空き家率は13.6%であり、別荘などの二次的住宅を除くと13%である。これに対し、2016年時点のデータではあるが、フランスは8.3%(二次的住宅を除く)、イギリスは2.5%(同)にとどまっている。隣の韓国も6.7%だ。

欧米では中古市場が発達しており、中古市場の取引が活発だが、日本は戦後から高度成長期をピークに新しい住宅の建設地域を広げ続け、人口が減少し始めた今もこの傾向はやまない。空き家が増えた遠因である。

しかし、このため却って家屋の質が上がるという皮肉な現象もある。ちなみに2018年の住宅当たりの床面積を1963年当時と比較すると1.3倍である。一方で、世帯人口が減少したために、一人当たりの広さは4.9畳から14.1畳とほぼ3倍となった。

筆者の青年時代には、日本の家屋はウサギ小屋のようだと、海外と比較した家屋の狭さにつき、よく揶揄されたものだ。ところが、最近は全くと言って良いほど聞かなくなった。むしろ、ニューヨークなどのアメリカの大都市では、家賃の急騰などもあり、ごく小さい家屋(タイニーハウス:tiny house)に甘んじる人が増えたそうだ。 

日本では、高齢化社会の進展でバリアフリーのニーズは高まるだろうし、脱炭素社会実現にむけ省エネルギー対応の要請にも応えなければならない。災害王国とまで言われる日本は、住宅の耐震性や防火性にも取り組む必要があるなど、住宅建設・リフォームのニーズは、高まる一方だ。