iDeCoの出口戦略は他にも選択肢がある

さて、ここまで読んでいただき、制度内容や数字が多く、もうお腹いっぱいになっていないでしょうか。しかし、まだまだ述べさせていただきます。この複雑さこそが国の制度、胃もたれ覚悟であと少しだけお付き合いください。

今回は4つのケースを比較しましたが、iDeCoの出口戦略はこの4つだけではありません。たとえば、iDeCoの掛け金を最低5000円に落としてiDeCo資産を増やさず加入期間伸長による退職所得控除を増やす(③の積立額を減らすパターン)、iDeCoの受け取り期間を5年ではなく10年に伸ばして所得を減らす(②と④の受け取り期間延長パターン)、65歳でiDeCoを一括で受け取り、国の年金の受け取りを66歳以降に繰り下げるなど、受け取り方を考えればキリがありません。

また、どの受け取り方にしても、「利回りが○%だったら」という不確定な前提がつきますし、各ケースにおいても「配偶者を扶養していたら」「社会保険料が○○円だったら」「所得控除が○○円だったら」という「タラレバ」だらけです。

もっとも大切な視点はライフプランを土台にすること

このように「タラレバ」だらけで前提を固めて計算すること自体は可能です。しかし、前提が崩れる可能性は高く、計算しても数字の信頼度が低いのです。これが、冒頭お伝えした「税金の損得だけで判断すると、不本意な結果になるかもしれない」という理由です。税金はできる限り少なくなるように受け取りたいものです。しかし、考えるべきは、数字の大小よりも、自分の生活にあった受け取り方です。

・何歳まで、年収いくらで働くのか
・夫婦で受け取る年金はいくらなのか
・NISAや預貯金など、iDeCo以外の資産はいくらあるのか
・住宅ローンは残っているか
・これからの資産運用は「増やす」ことを優先するのか、それとも「安定」を重視するのか

まずは、自分の働き方や暮らし方を具体的に描いてみてください。次に、金融資産を一覧にして棚卸しをしてみましょう。そして、ねんきん定期便を取り出し、夫婦それぞれの年金見込額をあらためて確認してみてください。

そのうえで、どんな生活ができればよいか、それを実現させるための受け取り方にはどのような方法があるかを考えます。その受け取り方も数パターンあると思いますので、ここで初めて、その受け取り方から、コストパフォーマンスが良い受け取り方を比較すると良いでしょう。

数字に振り回されず、自分の人生設計に合わせて、受け取り方を絞って考えると方向性がブレずに効果的な受け取り方を選べるでしょう。人生を充実させるための優先事項を考え、お金に不安のない受け取り方をしてください。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。