5年を過ぎた分については時効に…

71歳で初めて年金の手続きに来た篤さんは、繰下げができないことにようやく気が付いたことになります。繰下げできないとなると、年金は65歳開始(増額なし)の額で受給することになります。

65歳開始となると、通常65歳の時点まで遡って受給することになりますが、年金の時効は5年のため、70歳を過ぎてから遡る場合は5年までしか遡れません。篤さんは71歳。65歳から既に6年経っているため、5年分までは遡れても、5年の時効を過ぎてしまって受給できない部分が発生することになります。

また、繰下げ予定だった人が、70歳を過ぎてから繰下げをせずに遡る場合、その5年前の増額率で増額される制度(特例的な繰下げみなし増額制度)があります。ただ、65歳で既に遺族厚生年金の受給権が発生している篤さんの場合、同制度は適用されず、71歳から5年前の増額率(66歳0カ月・0.7%×12カ月=8.4%)での増額もありません。

繰下げができないことで増額もなく、時効消滅も発生してしまった篤さん。これを聞いていて衝撃を受けましたが、言われたとおりに、遡及可能は5年、過去も今後も65歳開始の額(増額なし)として手続きをするしかありませんでした。

早めに年金事務所で相談しておけばよかった

退職した71歳で繰下げをするつもりでいたのに、真由子さんを亡くしていたことを理由に、予想外のことを告げられた篤さん。真由子さんが亡くなった時に年金事務所で一度相談しておけば、繰下げはできないとしても、5年経つまでに手続きができて時効消滅までは発生していませんでした。年金は加入記録だけでなく、家族の状況にも受給額や受給方法が左右されます。将来の年金のことで気になること、活用してみたい制度については早めに確認しておきましょう。

※本記事に登場する人物の名前はすべて仮名です。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。