<前編のあらすじ>
会社を退職し年金の繰下げ受給のために年金事務所を訪れた篤さん(71歳)は、窓口の職員から「繰下げ受給はできない」と言われ愕然とします。
65歳の時に妻を亡くしたことが影響しているらしいのですが、正確にはどういう理由だったのでしょうか?
●前編:「残念ながら繰下げ受給はできないです」8歳下の妻に先立たれた71歳男性が直面した「残酷な現実」
妻の遺族厚生年金の受給権が発生していた
篤さんの老齢基礎年金も老齢厚生年金も繰下げができない理由。それは妻の真由子さんが亡くなったことで篤さんに遺族厚生年金の受給権が発生していたためでした。
真由子さんは篤さんが65歳の時に亡くなっています。短い期間とはいえ真由子さんは厚生年金に加入していたことがありました。そして、その真由子さんの死亡当時、篤さんの前年の収入が850万円未満だったため、篤さんは「生計維持された配偶者」となって遺族厚生年金の受給権者となります。
ただし、65歳以降の遺族厚生年金は老齢基礎年金や老齢厚生年金と併せて受給することもできる一方、遺族自身の老齢厚生年金相当額を差し引いた差額分で計算されて支給されることになります。
遺族厚生年金の受給権発生時点で繰下げ受給できなくなっていた
遺族厚生年金は亡くなった人の厚生年金の加入記録から計算されます。厚生年金加入が短い妻・真由子さんの場合、その死亡による遺族厚生年金はかなり少ない額となります。一方、会社員として厚生年金に加入していた期間が長いこともあって、篤さん自身の老齢厚生年金は多い額として計算されます。そのため、篤さんの場合、差額分としての遺族厚生年金の支給はなく、老齢基礎年金と老齢厚生年金のみで受給することになります。
しかし、真由子さんが亡くなった時点で、遺族厚生年金の受給権そのものは発生してしまっていることから、老齢基礎年金も老齢厚生年金も繰下げできなくなっていたわけです。
