<前編のあらすじ>

栃木県在住の福田加代さん(仮名・51歳)は、3人兄妹の真ん中で兄と妹がいます。中学生の時に実母を病気で亡くし、高校生の時に父が10歳年下の女性と再婚しました。加代さんと妹は義母と仲良く暮らしてきましたが、兄は義母になじめず、実家とは疎遠でした。

父が亡くなり、遺産は実家の不動産(相続税評価額3300万円)と預金500万円余り。義母が実家を処分して法定相続分通りに分けることを提案し、加代さんも妹も異存ありませんでした。ところが兄が突然、義母が財産を隠していると疑い始めました。

●前編:【「あの女が財産を隠している」父の遺産500万円に納得できず義母への疑念を募らせる兄…田舎で裁判沙汰は避けたい50代女性の窮地】

ほとんど実家に寄り付かなかった兄

今年、脳疾患で寝たきりだった父が亡くなりました。法定相続人となるのは、兄と私、年子の妹、そして父の最期を看取ってくれた義母です。

父が10歳下の義母と再婚したのは、実母が病死して3年後、私が高校生の時でした。私や妹は義母と養子縁組こそしていませんが、穏やかで優しい義母を姉のように慕ってきました。

とはいえ、当時、既に大学生になって家を出ていた兄だけは違いました。兄は長子として実母に大切に育てられたこともあり、その死から時間を置かずに再婚した父が許せず、また、義母には受け入れがたい思いもあったのでしょう。以降はほとんど実家に寄り付かなくなり、卒業後も都内の企業に就職して、向こうで家庭を持ちました。

兄の場合、実家に顔を見せるのも数年に一度程度で、父や義母、私や妹との関係性も希薄でした。実母に継嗣として大切に育てられたせいか自意識過剰で尊大なところがあり、自分だけ東京の大学を出ていることもあって、地元の短大卒の私や妹を見下していたのだと思います。