夫の態度に我慢の限界

亜美が家に帰ると、脩人はまだリビングで映画を見ていた。ソファに座ったまま、首だけを亜美のほうへと傾ける。

「ねえ、昼飯は? 腹減ってんだけど」

その瞬間、亜美の中で何かが切れた感覚があった。

孝明が見ているにも関わらず、亜美は脩人の前に立ちはだかった。

「どうして私ばっかりこんなことをしないといけないの?」

「……え?」

「私ばっかり家事をしてさ、こんなのおかしいって!」

亜美はずっと思っていた感情をぶちまけた。

「いやだって俺は仕事をしてお前は家事をしてさ、役割分担ってことじゃん」

「じゃあなんで私には休みがないのよ。あんたには土日休みが保証されてるじゃん。私にはそんなの1日たりともないんだよ! これって変だと思わない⁉」

脩人は体を起こし、亜美の言葉に頷く。

「まあ、そ、それはたしかに変、かもな……」

「今日だってあなたがもう少し協力をしてくれたら私は試合に間に合ったかもしれないのに……!」

「でもさ俺は勝手に試合を見に行くのには反対だったから……」

反論してきた脩人を睨みつける。

「私はもっと協力をしてほしいって話をしてるのよ! 今日だけじゃなくていつも!」

「……そ、それはさ」

脩人は頭を掻きながら面倒くさそうな顔をする。

「何であんたは労働をしてお金もらえるのに、私はお金もらえないの? 家事は労働じゃないってこと⁉」

「いやそんなことはないけどさ……」

そこから亜美は自分の心の中にあった不満の全てをぶちまけた。脩人はその話を聞きながら、ひたすら頷いていた。