<前編のあらすじ>

40歳で資産6000万円を築き、「FIREを達成した」と胸を張った大橋拓人さん(仮名)。会社を辞め、フリーランスとして自由な生活を送るはずでした。

しかし、フリーランスの収入は生活費をまかなうには心もとないもの。さらに「資産が減るのが怖い」という心理から、せっかくの資産も思うように使えません。

やがて拓人さんは「お金がないわけじゃない。でも実家にいさせてほしい」と母・和代さん(仮名)に頼み、再び親元へ。FIREしたはずの息子が、親の年金暮らしに少なからぬ負担をかける“子供部屋おじさん”として戻ってくることになったのです。

●前編:FIREしたはずの息子が突然「家にいさせてほしい」…資産6000万円、40歳で“子供部屋おじさん”に逆戻りした意外な理由

実家に生活費を入れない40歳息子

実家に戻った拓人さんは、生活費を一切入れずに暮らしていました。パソコンで一日中作業し、夏、冬は冷暖房をつけっぱなしで、3食の食事は母親任せです。

拓人さんが来てから、毎月の支出は大体5万円程度増えていました。年金とわずかな貯蓄で生活している高齢夫婦にとって、5万円は決して小さな額ではありません。

和代さんが生活費の一部を出すよう頼んでも、拓人さんの答えはいつも同じでした。

「今は資産を減らしたくない。フリーの仕事が増えたらちゃんと払うから」

しかし、フリーの仕事が大きく増える兆しはなく、完全にリタイアできるほどの資産があるわけでもなく、働いて十分な収入を得ているわけでもない、まさに「FIREとは何だったのか」という状態になってしまっていました。

そんな息子の将来と、自分達の老後の生活費を不安に思う日々が続いていたのでした。