米国経済の現状は

ここで、好調である消費データをご紹介します。これはダラス地区連銀のウィークリーエコノミックインデックス(WEI)に採用されているレッドブック公表の週次の小売売上高(前年比)です。7月から8月にかけて勢いが増しており、9月第1週分も6%台後半の伸びを示しています(スライド 12)。

 

また物価について見ておくとコアとスーパーコアの伸びは横ばいにとどまりましたが、8月は総合のインフレ率の伸びが拡大しています(スライド 13)。

 

来週は利下げ幅に加え、今後の利下げパスに注目です。具体的にはドットチャートとSEPすなわちSummary of Economic Projectionです。

ドットチャートは7名の理事と12名の各地区連銀総裁を合わせた19名が適切な政策が講じられる前提の下、各年末の政策金利として適切な数値を無記名で投票した結果を示したものです。市場で注目されるのは上からも下からも10番目にあたる人が投じた中央値です。

SEPにはGDP、失業率、物価統計に加え、その政策金利も示されます。ドットチャートやSEPは年8回のFOMCの内、3、6、9、12月の4回の会合で発表される為、前回分は6月に示されたものです。現在、マーケットは年末までに約75bp、来年の年末までに追加でさらに75bpの利下げを織り込んでいますからSEPの2025年末と26年末の数字が3.6%と2.9%であれば、市場予想通りです。

逆に言えば織り込み済みですから、その数字通りなら一旦材料の出尽くし感からドルがやや買い物される可能性がありますし、この数字を上回った場合は利下げ観測の後退によってドルが上昇すると考えられます。この為、来週ドル安がさらに進むとすればこのSEPの数字が今の市場の織り込みである3.9%や2.9%よりも更に低い数字が示された場合と考えられますが、先ほど挙げた理由からその可能性は低いとみています。

来週のFOMCでは利下げ再開が見込まれはするものの総じて織り込みの範囲内にとどまる結果、ドルがあまり下がらなかったり、やや持ち直す可能性も充分にあると考えられます(スライド 14)。

 

 

 

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