ユーロ相場の振り返り

ここでユーロ相場も振り返っておきましょう。今週ECBは定例理事会で2会合を続けて政策金利を据え置きました。ECBは既に中立金利付近まで利下げを終えており、今後アメリカが利下げに踏み切ることでユーロ相場がジリ高に推移する可能性が出てきました。これがユールの強みと言えるでしょう。

今年のユーロドルはドイツやEUの財政拡張による長期金利の上昇を受け、7月にかけて1.18台まで上昇しました。その後、ドルが持ち直しに転じた結果、反落しましたが、再び1.18台に迫りつつあり、しばらくの間、ユーロは底堅く推移しそうです(スライド6)。

一方、ユーロの弱みとしてフランスにおける財政健全化の遅れが挙げられます。フランスはEUから財政赤字の削減を要請されており、緊縮財政を進めようとしていますがこれに対して右派、左派双方の野党の抵抗に直面しています。内閣信任決議案が可決され、首相が辞任に追い込まれ、マクロン大統領が新しい首相を任命しました。ただ、現在の議会の状況に照らせば緊縮方針の予算審議は難航することが必至で、こうした事態が長期化した場合、フランスが格下げされる可能性も出てきそうです。