今回は「日銀利上げとFOMCのポイント」について解説します。

 

今週の為替市場では日銀の利上げ観測が高まり、円高が進みました。また、多くの通貨がドルに対して上昇している通り、今週はドル安だったこともわかります。今週はこの円高とドル安によってドル円は何度か155円を割り込む場面が見られました(スライド2)。

 

日銀の利上げ観測が高まった要因に、植田総裁の発言が挙げられます。植田総裁は1日、次回の会合で利上げの是非を判断すると発言しました。また、4日にはロイターが政府も利上げを容認する見通しであると報じています。そしてその報道を裏付けるよう片山財務相からも金融政策の実務について日銀に任せているとの発言が聞かれています。これらを受けて現時点で利上げの織り込みは9割程度まで進展しています。

また、今日になって改めてドル円が155円台を割り込んだ要因に、中立金利に関する時事通信の報道が影響した可能性もあります。日銀が中立金利を改めて点検しているとの内容です。中立金利とは景気や物価を加熱を冷ましもしない金利です。

現在、日本の中立金利は1%から2.5%とされており、市場は今回の利上げ局面の天井についてレンジの下限である1%程度をめどとしています。つまり利上げが進む場合も1%かせいぜい1.25%までとみているのです。しかし、仮にこの中立金利が引き上げられるとすれば、潜在的な利上げののりしろが広がることになり、円安期待をある程度抑える可能性があります(スライド3)。