12/8週のポイント
最後に来週のポイントです。
FOMCでは利下げが濃厚ですが、重要なのはドットチャートの中央値とパウエル議長の記者会見です。中央値はおそらく変わらないとみられ、パウエル議長も今後はデータ次第であるとして方向性をぼかすでしょう。この為、利下げは決まるものの、FOMC通過後にはドルが若干持ち直すと予想します。
一方、日本でも利上げの織り込みが十分進みましたが、政府のスタンスがインフレを警戒するあまり、やや円安警戒へと変りつつある可能性があります。そこに、中立金利を再評価するとの報道も加わっており、市場の円売り安心感がやや変化するかも知れません。この為、来週は154円を割り込むドル安円高にも注意が必要です。もっとも、金利からインフレ率を差し引いた実質金利は依然としてマイナスのままですから円高トレンドに変わるわけでもないはずです。
著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
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