日銀が注視する中立金利とは

もう少し詳しく中立金利について解説しておきましょう。中立金利は、潜在成長率とインフレ目標の合計です。潜在成長率は労働投入、資本ストック、全要素生産性の3つの要素によって決まります。

わかりやすく言えば、どのぐらいのヒトが働いているのか、どのくらいの設備(キカイ)が行き渡っているのか、設備の性能や効率性ががどの程度進歩(シンポ)するのか、によって決まります。但し、この潜在成長率は推計方法により、かなりばらつきを以て導かれます(スライド4)。

 

例えば、現在日銀のホームページに掲載されている資料によれば、日本の潜在成長率は最も低いもので▲1%と算出されており、最も高いモデルで0.5%です。従って、ここにインフレ目標の2%を加えた1.0%から2.5%が日本の中立金利とされているわけです。

ただ、今回の中立金利の再評価の裏には、広めの利上げの余地を示すことによって、円安期待にブレーキをかけたいとする日銀の隠れたメッセージが隠されているのかも知れません。現在、為替相場と結びつける報道は見られませんが、今後の日銀の動向を注視する必要があります(スライド5)。