今回は「米国株と円高は続くのか?」について解説します。
今週のドル円は週初154円台で堅調に推移しました。但し、その後は米国株の下落やそれにつられた日本株の下落により、何度か153円を割り込む場面が見られました。現在は153円台を回復して週末を迎えています。(スライド2)
今週の主要通貨の対ドル変化率を見ると円が独歩高だったことがわかります。また、円とユーロに次いでドルも堅調に推移した結果、総じてクロス円が下落しました。CFTCのデータは9月23日時点で更新が止まっていますが、おそらく投機筋のポジションは円ショートと傾いているのでしょう。
この為、株価の下落によるリスク回避姿勢の高まりが円の買い戻しを誘ったと考えられます。もっとも、円独歩高とは言え対ドルで0.5%前後にとどまり、ドル円も153円割れでは底堅さを見せたとみることできます。(スライド3)
その円買いを誘ったのが株式相場の下落でした。そこで各国や地域別のMSCI株価指数の変化率を見ると米国株の下げ幅が最も大きかったことがわかります。(スライド4)
著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
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