今回は「歴史的利上げでも円安のなぜ?」について解説します。
12月19日、日銀は政策金利を0.25ポイント引き上げ、0.75%としました。ただし、為替市場では植田総裁の会見中から円安が進み、ドル円は157円台まで上昇しました。図の影の部分は中立金利とされる水準です。後述しますが、経済や物価を加熱も冷ましもしない中立金利は現在、1%から2.5%とされています(スライド2)。
利上げの決定後に円安が進んだ理由として以下の4点が挙げられます。はじめに、利上げが織り込み済みであり、特にサプライズがなかったことです。
次に、かねて円安の要因としてお伝えしてきた通り、インフレ率を差し引いた実質政策金利が日本の場合、依然として深いマイナス圏にある事です。例えば、現在の政策金利0.75%からインフレ率を差し引いた実質政策金利は▲2.15%となり、他のどの通貨よりも非常に低いままです。
また、植田総裁から中立金利の引き上げに関する新たな情報が乏しかったことも円安に影響した可能性があります。今月5日の時事通信報道によれば、日銀は中立金利の再評価に着手している模様です。仮に、引き上げされれば、潜在的な利上げ余地が広がり、円高要因になり得るとして、この動画でも過去2週にわたり解説してきましたが、結局新しい情報は得られませんでした。
そして最後は植田総裁が長期金利の上昇を容認する構えをみせた点です。現在、長期金利の上昇が「悪い金利上昇」とみなされており、円安に波及していると考えられます。それだけに、長期金利の上昇を容認したことも円安期待に波及した可能性があります(スライド3)。
