今回のテーマは「円安とドル持ち直しで155円も」です。円安にドル高が加わる結果、ドル円の一段高が見込まれますが、その際の注意点などについて解説します。

 

はじめに年初来のドル円相場を振り返ります。今年は157円台で寄り付いた後、一時159円に迫りましたが、その後は下落しました。米国の景気減速が意識された上、4月以降は相互関税やトランプ減税に伴う財政悪化懸念などからドル安が進みました。

ただ、その後は落ち着きを取り戻しています。7月に成立した減税法案に関して、財政赤字の拡大分を関税収入が穴埋めするとの見方が広がりました。そして、9月の利下げ再開後はドルが持ち直しに転じ、10月以降は高市内閣の発足により、上昇に勢いがつきました。これまでの戻り高値は154円45銭です。(スライド2)

 

足元で円安が進んでいる通貨ペアはドル円だけではありません。そこで年始を100として指数化した上で、ほかの通貨ペアも見てみましょう。スウェーデンクローナ円は年初に比べて15%程度もスウェーデンクローナ高円安となりました。スイスフラン円やユーロ円は史上最高値更新です。カナダドル円も年初の水準を明確に抜けてきました。カナダは関税交渉においてトランプ大統領より不利な条件を突き付けられており、全般的に冴えない値動きが続いていますが、円はそのカナダドルに対しても下落しています。そしてドル円も年初の水準まで残すところあと2%に迫っています。(スライド3)

 

こうしてみると今週は円独歩安だった印象もありますが、そうではありません。今週の主要通貨の対ドル変化率を見ますと円は確かに下から3番目と冴えない値動きでしたが、今週はここに挙げている全ての通貨がドルに対して下落しています。つまり、ドルも堅調に推移していたのです。今週、ドル円相場が154円台を回復したのは、円安とドル高の合わせ技だったことがわかります。(スライド4)