FOMCの振り返りとドルの動向
今週、ドルもしっかりと推移しましたが、材料となったのがパウエル議長の記者会見でした。FOMCでは利下げとQT、即ち量的引き締めの停止が決まりました。いずれも織り込み済みだったことから、緩和的な決定ではありますが、その後はむしろドル高に進みました。
ただサプライズだったのがパウエル議長の発言です。12月の利下げを強い調子で否定したのです。9月のFOMCに示された見通しによって市場は10月に続く12月利下げも織り込んでいただけに、この発言がドル高に繋がりました。確かに経済指標の発表が遅れており、12月の利下げが既定路線とならないことは当然です。それにしても非常に強い調子で12月利下げを当然視する声をけん制したのです。(スライド8)
ここでドルと金利差を見ておきましょう。主要6通貨(EUR、JPY、GBP、CAD、SEK、CHF)に対するドルの動きを示すドル指数とその6通貨の金利を加重平均してドル金利から引いたものです。年初から4月までは両者の動きは整合的でしたが、相互関税が発表された4月以降、金利差に対してかなりドル安が進みました。
但し、夏場以降にドルが持ち直しており、現在、金利差にキャッチアップしつつあります。このまま金利差との整合的な水準までドルが戻ると仮定すれば2%程度のドル高が見込まれます。ドル円にこのドル高が加わると年初の157円台回復も視野に入って来る計算です。(スライド9)
