今回のテーマはFOMCの利下げ幅やそのほかの注目点についてです(スライド1)。
はじめに今週のドル円相場から振り返っておきましょう。週末、石破首相が辞任を表明した結果、自民党の臨時総裁選が行われることになりました。前回ご案内した通り、為替市場では、自民党総裁選後の財政拡張路線が意識され、円安が進みやすいとしました。
考えられる経路は二つです。一つは悪い金利上昇が円安を招くこと、もう一つは政府が財政刺激策を講じる中、日銀が利上げをやりにくくなり、金融緩和が長期化するとの見通しによって円安が進むことです。その点、週明け8日のマーケットでは株式相場が上昇し、長期金利は横ばいないしは小幅に低下しました。このため、円安の経路は後者だったことになります。
一方、その後は日銀の年内利上げに関する観測報道の影響から一時は高値から2円も近いくも下落する場面がありました。ただ、今週は生産者物価指数や消費者物価指数の発表前後でドルが乱高下したものの、予想を下回った先週の雇用統計の余韻が残っていた割に終わってみればドル円相場はおおむね横ばい圏での推移にとどまりました(スライド 2)。
著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
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