米国の物価統計の振り返り
今週注目されたアメリカの物価統計を振り返ります。
はじめに生産者物価指数は予想を下回りました。特に前月比はマイナスを記録し、川上でのインフレの減衰が確認されました。消費者物価指数についても概ね予想通りとなり、来週のFOMCの利下げを妨げるような結果とはなりませんでした。実際には生産者物価指数については企業が関税による価格引き上げを自ら吸収している側面も指摘され、ここから再び伸びが高まってくる可能性があります。
また、消費者物価指数についても前年比の伸びは2%大きく上回っています。さらに前月比で+0.4%の伸びが1年続けば、年間では物価が5%近くも上昇するペースであり、インフレへの警戒を無視して良い状況でもありません。それでも来週のFOMCに向け、利下げ路線を覆させるほどのインパクトは無かったとの受け止めでした(スライド 3)。

一方長期金利は期待インフレ率の低下を受けて低下し、4%を割り込む場面が見られました(スライド 4)。

但し、ドル指数も雇用統計後の下落が続かず、概ね横ばい圏での推移となりました。マーケットは先週の時点で既に年内約3回、来年の年末までに追加で約3回の利下げ(即ち計6回)の利下げを織り込んでおり、今週はそうした見方が大きく変化することがありませんでした。この為、ドルの方向感も出にくかったと考えられます(スライド 5)。
