国債の格付けについて
そこで格付けについて解説しておきます。
G7各国の格付けを見ますとフランスは主要3社のすべてからダブルAの最下位の格付けを付与されています。右側にあるリスク掛け目は銀行のルール作りを主導しているバーゼル銀行監督委員会が定める海外のソブリンリスクに対する貸出債権や国債投資に対して適用すべきリスク掛け目です。
これによればトリプルAとダブルAはどちらもリスク掛け目がゼロ、すなわちフランス国債はリスクフリーのアセットですが、仮にシングルAに格下げされた途端にリスク掛け目が20%に上がる為、中にはフランス国債を手放さざるを得ない金融機関も出てくると思われます。現時点ではフランスの財政悪化懸念が周辺国に波及したり、ユーロ相場を明確に下押ししているわけではありませんが、今後のフランスの格付の報道には要注意です(スライド 7)。
著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
この著者の記事一覧