今日のテーマはアメリカの雇用統計と利下げドル円の関係です。
まずドル円相場から振り返ります。
ジャクソンホールの講演でパウエル議長は慎重に利下げを検討する方針を示しました。これを受け、ドル売りが優勢となり、ドル円相場も146円58銭まで下落しました。ただ、市場は既に年内2回の利下げを完全に織り込みました。それ以上、利下げを織り込みが進展しない限り、ドルは下がりにくい状況です。その点、今週はアメリカの第2四半期GDPが上昇修正され、新規失業保険の申請者数も予想を下回るなど、更なる利下げを織り込む動きとはなりませんでした。
一方、トランプ大統領がFRBのクック理事を解任すると報道され、市場では中央銀行の独立性やドルの信認が低下するとの見方からドル売りが進む場面も見られました。ただ、今週の安値は146円66銭と先週の安値を下抜けできず、足元では持ち直しています(2ページ)。ドル指数も同様の動きでした(3ページ)。
著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
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