デートを重ねても
それから2回目、3回目とデートを重ねたが、いつも店を選ぶのは美弥子だった。悟は美弥子の選んだ店を褒めたたえるが、話題に上る会員制の店とやらに美弥子が行ってみたいと言っても、はぐらかされてしまった。
さらに不可解なのは、仕事のことや家の話になると途端に口が重くなることだった。何を聞いても食事を楽しみたい、仕事を忘れたい、プライベートを詮索されるのは苦手の3つで逃げられてしまう。
その代わり、海外旅行で泊まった高級ホテルの話や最近新しい高級外車を注文したことなど、派手な話は意気揚々としてくる。
悟の話だけを聞いているとさすがは経営者だと思ったし、最初はすごいと思って聞いていた。
けれど写真を見たいと言っても、出してくるのはホームページやネット検索の画像ばかりで肝心の悟が写っている写真は1枚も見せてはくれなかった。
「写真は苦手で」
そう言っていつものように笑う悟に、美弥子は徐々に疑念を抱き始めていた。
●肝心なことになるとごまかしてしまう悟に不信感を抱く美弥子。何か事情があるのだろうか? 後編【連れていかれたのは寂れた定食屋? セレブ妻を夢見た40代女性が絶句したプロフ詐称男の「驚愕のプロポーズ」】にて、詳細をお伝えします。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。