一方、アメリカの経済の先行きに対する懸念はあります。例えば、カンファレンスボードが公表している景気先行指数(青い線)の低下が続いています。これまでの経験則では景気先行指数が低下し始めてから半年から一年程度で景気後退に陥るとされ、景気の先行きに対する懸念は残ります(13ページ)。

 

 

ただ重要なのは、どの項目が景気先行指数の低下に影響しているのか、です。そこで内訳をみてみますと、6月分および6月までの6カ月間のいずれにおいても、消費者ビジネス期待指数と新規受注指数が景気先行指数を押し下げています。これらはいずれも先行き不透明感を反映したものと言え、トランプ政権の関税をめぐる不透明感が影響していると考えられます。

それだけに、逆に言えば、米中間の関税交渉の着地が見えてくれば、先行き不透明感の後退によってこれら二つの項目のマイナスインパクトが解消し、景気先行指数の低下にも歯止めがかかってくる可能性が十分にあります(14ページ)。