では改めてアメリカの主な経済指標を振り返っておきましょう。消費者物価指数は市場の受け止めとは裏腹に、食品・エネルギーを除いたコア、エネルギーや住居費を除いたサービス価格であるスーパーコアともに、5月以降3カ月続けて伸びが拡大しています。確かに9月の利下げにストップをかける内容ではありませんが、少なくとも9月に50bpの利下げが決定される可能性は非常に低いと考えられます(3ページ)。
また、アメリカの小売売上高は前月比+0.5%と6月から伸びが鈍化しています。ただし6月分は0.6%から0.9%へ上方修正されており、その前月から0.5%の伸びを記録しており、決して弱くありません。また、変動の激しい図中記載の4品目を除いたコア、物価の変動を除いた実質とも4月や5月に比べれば、個人消費の底堅さを示しています。やはり、現状では9月に50bpの利下げを必要とするほど消費が悪いわけではないようです。
著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
この著者の記事一覧