公務員生活を終え、うつ病や持病と向き合いながらも、自分のペースで前向きに暮らす60代の田中さん(仮名)。彼が取り組む終活は決して暗いものではなく、自分自身の人生を見つめ直し、残された時間をより豊かに過ごすための第一歩となっていました。

<投稿者プロフィール>
・男性
・60代
・近畿地方在住
・元公務員

定年後は再就職せず一人暮らしを満喫

60代の田中さんは現在、退職後の一人暮らしを心から楽しんでいます。かつては結婚生活を送っていましたが、一人になって25年がたちました。定年退職後は再就職せず、年金支給までの期間を貯金で過ごす計画を立てています。

「本来ならば年金は60歳に支給だったので『国家的詐欺ではないか?』という怒りもありますが……」と田中さん。年金制度の変更に不満を抱きながらも現実的に対応しています。

田中さんは定年前の最後の年にうつ病を発症。入院中には高血圧症と糖尿病とも診断されました。しかし、そうした健康上の課題があっても前向きに生活改善に取り組んでいると言います。

「日々、バランスのとれた食生活と適度な運動をするように心がけています」

また健康管理と並行して、少しずつ終活もスタートさせたそうです。第一歩として田中さんが取り組んだのは持ち物の整理でした。

「まず、食器や衣服、公務員時代の本・資料などを整理して処分しました。思い出の品々はどうしても処分できませんが、クローゼット1つ分と食器棚1つ分が空になりました」

うつ病に苦しんでいた時期は部屋が雑然としていたそうですが、使わないものを処分することで「とり立てて片付けなくてもきれいになりました」と田中さんは語ります。

特に公務員時代の衣類は大胆に整理したと言います。

「スーツやシャツなどは2着ずつ残しただけです。他はバザーに出品したところ、お客さんに大喜びしてもらい、すぐに完売しました」

不要なものを手放すことで、部屋はスッキリとし、心にも余裕が生まれたようです。