注目ポイント

出所:内田氏

最後に5月12日週の注目ポイントを見ていきます。まず、日本の材料での注目は13日発表の日銀の金融政策決定会合の議事要旨です。予想外に利上げの必要性も議論されていた場合、若干の円高材料になるかもしれません。

米国では13日に消費者物価指数、15日は小売売上高と失業保険新規申請件数、16日はミシガン大学消費者信頼感指数と重要な経済指標が相次ぎます。

また、ブラックアウト期間明けのFRB高官発言にも要注意です。ブラックアウト期間とは、FOMCの前々週の土曜日から翌日までを指し、この間、金融政策の当局者は一切対外的に情報発信をしてはならないことになっています。5月9日にこのブラックアウト期間が明けるのです。

5月9日にはFRBウォラー理事も発言します。ウォラー理事の発言は一般的には地区連銀総裁のものより重視されることが多く、ブラックアウト入り前に、労働市場が悪化した際の利下げの必要性に触れるなど、ややハト派の発言をしていました。同様のトーンがきかれれば、ドル安材料となる可能性があります。

最後に5月12日週の見通しです。第29回のマーケットトークでは「145円を固める」と予想しましたが、実際には上値の重い展開でした。ただ、それでも142円台で持ちこたえ、FOMCを通過した現在145円台まで回復しており、今週は145円程度で足場を固めることができるのではないかと考えています。もちろん、経済指標次第で利下げの織り込みが高まる可能性もありますが、総じてドル安材料が緩和しており、ドル円は下落しても144円程度では底堅い一方、上値余地は146円台から場合によっては147円を視界に捉えるといった底堅い動きになるのではないかと予想しています。

※尚、収録後の5月12日、アメリカと中国の両政府が相互関税の一部を90日間停止することで合意したと発表され、ドル円相場は一時148円台を記録しました(5月12日18時現在)。

 

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