積みあがった円ロング

 

次に、2000年代以降の投機筋の円のポジションの動きも見ていきます。現在、歴史的に見て円ロングのポジションが高水準です。以前からこの円ロングが取り崩される過程で円安圧力が生じるとお伝えしてきましたが、実際には減少していません。

 

そこで25年に入ってから円ロングが構築された時期を見ていきますと、2月頃から円ロングが拡大し始めました。当時のドル円は155円付近でしたから、現在の145円台に比べ、10円ほど余裕のある状況です。今慌てて円ロングを解消する必要はないと言えます。また、4月に相互関税の発表を受けて円ロングを構築した参加者も、当時のドル円は150円台でしたからまだ5円程度の余裕があることになります。こちらも慌てて円ロングを切る必要はないと言えます。

このようにしてみますと、現在、円ロングが高水準だからといってすぐに円ロングの取り崩しが出るわけではないのでしょう。ただ、逆に言えば現在のドル円が147円、148円と円安方向に向かえば、まず4月以降に円ロングを作った人にとって、持ち値に実際の相場が接近してくることになります。この場合、円ロングを解消しようとして円安圧力が生じるという可能性は十分にあります。つまり、現状よりもう少し円安が進むと円ロングの崩しが進みやすくなるでしょう。