ドル円の材料

出所:内田氏

では、改めてドル円の材料をまとめておきます。まずドル円の下支え材料は大きく分けて三つあります。

一つは「投機筋の巨額の円ロング」です。市場参加者の中で円高に進むと思っている人はすでに先回りして円ロングを作っており、かなり「お腹いっぱい」の状態です。これ以上の円買いはなかなか進みにくいと考えられます。

二つ目が日銀の慎重姿勢です。日銀が利上げをするから円高だという見方が2月にはありました。しかし利上げ慎重姿勢に転じており、これもドル円を下支えしています。また、冒頭で示したドル安材料はいずれも改善しています。

出所:内田氏

次に、ドル円の上値を抑える材料も見ておきましょう。先ほどドル安材料が改善したと説明しましたが、消滅したわけではありません。

たとえば、中国との関税交渉の結果もまだわかりません。また「トランプ政権が根底ではドル安志向である」という見方がくすぶる限り、ドルの売り仕掛けが起こる可能性もあります。

ほかにもユーロ圏との関税交渉が始まる場合、ユーロ高・ドル安方向に米国が圧力をかけるのではないかという思惑から、ユーロドルでのドル安・ユーロ高という動きが再発する可能性も十分あります。

パウエル議長解任騒動についてもトランプ大統領は引き続きFRB批判を続けています。

利下げの織り込みも後退しましたが、今後の経済指標の結果次第で再び利下げ観測が高まる可能性も十分に残っています。