「今どき、本家や分家なんて言葉はほとんど使わないと思うけど、うちの夫の一族にはあるんです」と自嘲気味に話すのは根本美香さん(仮名)。ご主人は地元では有名な地主の一族の二男坊。結婚する前は「跡取り息子じゃないから気楽でいい」と思っていたそうですが、いざ一族の仲間入りをすると分家としていろいろ気苦労が多かったそうです。この春は本家の義兄夫婦の長男(甥)が地元の有名高校に合格。入学祝いはなんと10万円でした。にもかかわらず、これまでお返しをされたことは一度もないとか。

そんな根本さんがうらやむのは、三男のひと回り年下の妻です。広告代理店に勤務する義妹はZ世代で、親子ほど年が違う義姉に強く当たられてもどこ吹く風の様子が痛快だったそうですが、甥の入学祝いをめぐって、その義妹と義姉の間でバトルが勃発します。バトルの余波は二男の根本さん夫妻にも押し寄せてきて……。根本さんがまだ生々しい記憶をたどってくれました。

〈根本美香さんプロフィール〉
東京都在住
40歳
女性
会社員
会社員の夫、12歳の長女と3人暮らし
金融資産800万円(世帯)

「分家」の立場で気苦労が絶えない家族関係

夫は首都圏近郊の出身で、男ばかりの3人きょうだいの二男です。聞くところによると地域では少しばかり名の知れた名家らしく、今もお屋敷のような家に義両親と、長兄一家が暮らしています。

義両親はそんな家柄を感じさせない田舎のおじいちゃん、おばあちゃんという感じの気さくな人たちなのですが、義兄と、やはり名家から嫁いできた義姉はプライドが高く、親戚付き合いをする上でいろいろ苦労がありました。

特に専業主婦で家を守るという意識の強い義姉は、結婚・出産後もフルタイムで働いてきた私が気に食わないようで、いろいろな形で意地悪や当てこすりをされました。夫は「一緒に住んでいるわけじゃないんだし、そんなの気にしなければいいんだよ」と言いますが、関係性が密な家なので、そういうわけにもいきません。