<前編のあらすじ>
都心の住宅地にある実家を3人きょうだいで相続することになった中道恭子さん(仮名・56歳)。父の遺産分割協議の際、実家は億を超える評価額だったため、誰も譲らず共有名義となりました。この決断が後の混乱の始まりでした。

片付けは3人で同時に行うというルールを決めましたが、作業は遅々として進みません。そんな中、兄が心臓病で入院。その隙を突くように妹が勝手に業者を入れて荷物を片付け、100万円もの請求書が届きます。これに兄が激怒し、実家の処分を巡って対立が深まりました。

●前編:【早く処分しなければ大変なことになる…都心の“億越え一軒家”が管理不全空き家になってしまった「戦慄の経緯」】

実家をめぐり相続トラブル勃発

2017年、2018年と両親が相次いで亡くなり、私は実家である都内の一軒家を、兄、妹と共有名義で相続しました。その時点で実家の相続税評価額は億単位になっていました。

父は兄に相続させるつもりだったようですが、父が残した金融資産はそれほど多くなく、相続税を払う必要もあったことから、兄は代償分割(法定相続分に満たない他の相続人に対して、不足分を現金などで支払って相続すること)を断念したようでした。

昔なら長男である兄が有無を言わせず実家を引き継いだのでしょうが、今は時代が違います。アメリカの大学院を修了した妹などは強硬に自分の権利を主張し、昭和男の兄はたじたじでした。

しかし、この共有という選択は、実はとんでもない悪手だったのです。